素人のまま、書くと決めた。──「経験がない」は、始めない理由にはならない。
代表ブログ
mermaid 代表
公開日:2026年8月23日
八月も、下旬に入りましたね。
昼間はまだ暑さが続いています。
でも、夕方になると、
日が暮れるのが、少しだけ早くなってきました。
季節の終わりの気配を感じて、
夏が好きな僕にとっては、
少しだけ、寂しい気持ちになっています。
以前のブログで、
新しいことに挑戦している、と書きました。
その時は、
「まだ、詳しくは話せません」と。
でも、今日は、
その中身を、少しだけ、
お話ししてみようと思います。
実は今――
本を書いています。
まだ、半分にも届いていない
書き始めて、今で三か月弱。
仕事の合間の、わずかな時間と、
家に帰ってからの、深夜。
その時間を使って、
毎日、六時間ほど机に向かっています。
それでも、
まだ四割程度。
半分にも、届いていません。
亀のペースで、
少しずつ、進めています。
前から決めていたことのように、
聞こえるかもしれません。
でも、
ここにたどり着くまでには、
長いあいだ、迷っていました。
スラムダンクしか、読んだことがない
僕は、
活字も、漫画も、
ほとんど通ってこなかった人生でした。
小さい頃から、
文字そのものが、苦手だったんです。
国語の授業は、
一番、嫌いでした。
先生が、
教科書の音読を誰かにさせようと、教室を見渡す。
その瞬間は、
いつも下を向いていて、
絶対に、
目を合わせないようにしていました。
でも、
今までで、たった一度だけ、
最後まで読み切った本があります。
スラムダンク。
二十代の前半。
漫画喫茶で、一人。
初めて手に取った漫画が、これでした。
しかも、
読み始めた時。
横に進むのか、
縦に読むのかすら、
分からなかった。
後にも先にも、読み切ったのは、この一冊だけ。
そんな僕が、本を書く――
無謀にもほどがある。
書いている自分の姿なんて、
想像すら、できませんでした。
ブログは流れる。でも、本は残る
だから、
「書こう」と思ってからも、なかなか手をつけられませんでした。
一番、ためらったのは、
本は、”残る”ということ。
ブログなら、
毎週、流れていきます。
読み返されることはあっても、日々の一部です。
でも、本は違います。
一度、形にしてしまえば、
その一冊は、ずっと残る。
消したくても、
消せません。
活字をまともに読んだこともない素人が、
「書籍」というものにまで、
手を伸ばして、いいのか――
もし、
中身の薄いものを出してしまえば、
これまで十二年、
一つずつ積み重ねてきたことまで、
軽く見られてしまうかもしれない。
この会社は、
僕一人で、作ってきたものじゃありません。
ここに関わってくれた、
一人ひとりと、
積み上げてきたものです。
そう思うと、
どうしても、怖かった。
書かなければ、
恥をかくことも、ありません。
やめておけば、
何も、傷つかない。
キーボードに、指を置く。
でも、一文字も打てないまま、
また、離す。
その繰り返しで、
時間だけが、過ぎていきました。
飾るものが、何もない
でも、
ある時、ふと、
逆のことを思ったんです。
僕には、
書き方の知識も、経験も、何もありません。
上手く見せられる技術も、表現方法も、持っていません。
だったら、いっそ。
素人のまま、
素人のやり方で、書けばいい。
下手に格好をつけようとするから、
足がすくむ。
上手い人に、
近づこうとするから、不安になる。
でも、そもそも、
格好をつけようにも、
飾るものが、何一つありません。
だから、
どう頑張っても、飾れないんです。
そう気づいた時──
すっと、
肩の力が抜けました。
だから僕は、
書くと決めてからも、
今も、本は一冊も読んでいません。
上手な誰かの真似をすれば、
きっと、どこかで自分の色が消えてしまう。
進みたい方向も、ぼやけてしまう。
素人は、
素人のまま、書く。
それが、
一番、僕らしいやり方だと思いました。
売るために、書くんじゃない
これは本音です。
売れる本を、
作りたいわけではありません。
たくさんの人に、
買ってほしいわけでもないんです。
もし、興味を持って、
手に取ってくださる方がおられたら、
その方に、
何かが少しでも、残ればいい。
逆に、
何も伝わらなかったなら、
それは、それで、
僕の実力不足です。
だったら——
下手なら下手なりに、真正面から、ぶつかった方がいい。
表に見えるタイトルも。
その奥にある、裏のテーマも。
話を組み立てる、設計図も。
編集も。
表紙のデザインも。
全部。
素人だと認めた上で、
自分の頭で考えて、
自分の手で、やってみよう。
そう思えた時に、動くことができました。
新しいことを始める時
経験があるか、ないか。
本当は、
そんなに関係ないのかもしれません。
「経験がない」
そう思うと、
それは、始められない理由に見えます。
でも――
何も持っていないからこそ、
飾らずに、踏み出せる。
書き手として守る肩書きも、
実績もないからこそ、
ありのままで、思い切りぶつかれる。
そう思えた時、
“経験がない”ことは、
立ち止まる理由ではなく、
前に出る力に変わりました。
「経験がない」は、
始めない理由にはなりません。
むしろ、
その”何もない”が、一番の武器になるかもしれない。
僕はこの気持ちを、
これからも大切にしたいです。
そして、
また、机に向かいます。
上手くはなくても。
素人なりに、一文字ずつ、
自分の言葉で。
今夜も、書き進めたいと思います。